2015/05/14

わたしを語る(10)蒔いた種は確かに芽を出していた

2009年の渡米後から6年、わたしは引き続きサンディエゴに住んでいます。

2010年、サンディエゴで観光マーケティングの仕事をするという夢を叶えるため、サンディエゴ観光局で副社長に直談判。内容にとても興味を持ってくれて、実際どうやらマーケティング戦略はその後実践してくれたものの、当時はサンディエゴから日本への直行便もなかった時代。「残念ながらアジアだけにかける十分な予算がない」との回答。観光局の一員としての活動は叶いませんでした。

これからの進路を考えるなかで、日本に戻って観光マーケティングを続けるという選択肢もありました。幸い前職のご縁でパワフルなサポーターとなってくださった方たちが、「うちに来て働いて」「あそこの会社の社長に話してあげるから」と素晴らしいチャンスをオファーしてくれました。

悩んで末に、アメリカでいけるところまで行こうと決意し、アメリカで更なる経験を積むことを決めました。

その間、わたしは日系大手商社で新規開拓のお仕事をさせていただきながら、自分のマーケティングスキルが活かせる場を探していました。そんな折、自分の通っていたUCSD(カリフォルニア大学サンディエゴ校)のマネージャーから「日本人学生を誘致しないか?」と声をかけてもらいました。

自分がサンディエゴで働くという夢を終えたのもUCSDのプログラムでOPT(アメリカで1年働ける許可証)を取得できたおかげ。自分と同じように海外での可能性を試したい社会人を助けたいという思いからすぐに快諾、「サンディエゴ留学One」を立ち上げました。

サンディエゴという土地やUCSDのプログラムを広報することは、観光マーケティングとも非常に近く、とても満足感のある仕事で気に入っています。

その間、観光マーケティングのことを忘れたわけではありませんが、2011年の東日本大震災で日本マーケットが不安定になり、その後サンディエゴ観光局も地方政治に巻き込まれて一時的に財源を失った結果、大幅レイオフを経験しました。もし2010年にわたしがサンディエゴ観光局に勤めていても、もう今はそこに勤めていなかっただろうと思います。

2014年にはサンディエゴ観光局から別の観光局に移った元ディレクターから連絡があり、一緒に働かないかとお誘いをもらいました。声をかけてもらえたのは本当に嬉しかったし、とてもいいオファーだと思ったのですが、今目の前にあることに集中しようという思いからお断りしました。

自分が以前蒔いた種は確実に芽を出していたんだ、間違ってはいなかったし、無駄ではなかったんだと思うと本当に嬉しいです。





2015/03/06

わたしを語る(9)新たな挑戦を求め、アメリカへ

観光マーケティングの仕事について7年、日々の仕事を楽しみながら奮闘しつつも、新たな挑戦を求めていました。

仕事に疲れたときに思い出す場所は、大学時代に留学した米国サンディエゴでした。

「日本で知られているアメリカと、実際のアメリカのギャップが大きすぎる」と感じていたこと(これは今も感じています)、アメリカで学んで日本に還元できそうな概念がたくさんあると感じること、そしてサンディエゴはいいところなのに日本では知られていなくて残念だという気持ちから、アメリカに滞在して、サンディエゴ観光局に勤めて、日本をPRしたいと思うようになりました。


業界での経験は十分だと自信を持てるようになったことを契機に、アメリカに渡る決意をしました。

自治体Gの看板を背負っていたので、退職のご報告をしたときには驚かれましたが、頑張ってきなさいと背中を押していただきました。

お世話になった方たちが開いてくれた歓送会には90名ものの人たちが集まってくださり、感動しました。

退職後、カリフォルニア大学サンディエゴ校に在籍し、ビジネスマーケティングと最新鋭のマーケティングを学びました。

在学中に友人に紹介されて一緒に住むようになったルームメイトLが、偶然にもサンディエゴ観光局の社長秘書であることが分かり、兼ねてからインターンから経験したいと思っていたので、インターンができるよう協力をお願いしました。

ルームメイトLは、観光局の海外マーケティング部署のディレクターを家に招待してくれました。わたしはカレーを作っておもてなしして、インターンがしたいことを伝えました。結果、幸運なことに同じ部署でインターンとして働かせてもらえることになりました。

アメリカは日本以上にコネクションが大事な社会であると聞いていたことを実感した瞬間でした。

インターン先でもよい出会いに恵まれました。日本で働いたことがあるというマーケティング部署の同僚Sです。彼女にこれまでの自分の7年間の経歴を説明して、新聞記事などを見せたところ、「副社長に直談判したほうがいい」と言ってもらえました。

同僚Sがアレンジしてくれて副社長から30分時間をもらい、プレゼンする機会をもらいました。この日のために、毎晩遅くまで研究や準備を重ねて準備しました。

当日、お気に入りのスーツを着て付記社長の前でプレゼンをして、日本から持ってきた新聞記事などの実績の分かる資料、業界の人たちの名刺ファイルのすべてをお見せしました。わたしの経験と知恵のすべてを出しました。

このときのことを思い出すと、今でも胸が熱くなります。これがわたしの青春のハイライトと言っても言い過ぎではないかもしれません。

副社長は興味を持ってくれたものの、当時はサンディエゴから日本への直行便もなかった時代。「残念ながらアジアだけにかける十分な予算がない」との回答でした。







中国人観光客の動向

日経ビジネスオンラインに中国人観光客の動向に関する
記事がありましたのでご紹介します。

日経ビジネスのデスクによりインタビュー集

日経ビジネスオンライン
「日本人化」する中国人観光客
団体集中型から個人分散型へ変わるインパクト


マスコミ記事は100%鵜呑みしたらダメで
自分の肌感覚で現状を確認すべし、というのが持論です。

とはいえ、こういった記事の情報から
未来を見据えた観光マーケティング策のヒントを得ることはできると思います。

この記事で面白かった点・参考になる点を
わたしの視点からまとめ・コメントを書いてみました。


①観光客数が2013年9月から17ヶ月連続で前月比増の理由

従来の中国人向け団体ツアーの仕組みでは
連れて行く土産物屋などから得るコミッションを主な収益源とし
旅行料金は格安に押さえていたが、トラブルが多く中国国内で問題視された。

結果、2013年10月に中国で施行された「旅遊法」で
コミッションが禁止された。

結果、日本に有利に働いた。
タイや中国国内旅行は旅行料金が跳ね上がった一方、
日本ツアーの場合、旅行料金に占めるコミッションの割合は
大きくなかったのが理由。

また、円安や2020年オリンピック開催、日本側の誘致活動、
リピーターの出現なども、訪日に関心が集まった理由に挙げられている。

②団体旅行からFIT(個人旅行)へ

日本での海外旅行自由化以降の旅行史を振り返ると
忙しく多くを網羅する団体旅行から、1~3都市集中型のじっくり旅、
次第に個人旅行に移り変わり、ニーズもさまざまになっている。

中国でもこの流れがリピートされることは容易に予想がつく。

多様化するニーズのなかから
より人気度の高いものを嗅ぎ取って提供していくことも
これから必要になってくる。

いつも口酸っぱく言うことですが
日本人がいいと思う日本の観光素材ではなく
相手が想う日本のイメージに合うような
興味をそそられる観光素材を提供していくことが必至。

③具体的な人気素材例

アニメ関連:
三鷹の森ジブリ美術館、サンリオピューロランド、
マンガ「ワンピース」を題材にしたクルーズ船、
ドラマ「アタックナンバーワン」のロケ地

日本文化・体験関連:
忍者体験、合羽橋の食品サンプル見学

ショッピング:
日本人がよく行く店を調べて行く(マツキヨ、ビッグカメラなど)

④見込み客が情報を得る場所

中国現地の旅行会社
メッセージアプリのWechat。ソーシャルメディアのWeiboより影響力が出てきた。

⑤ソフト面での課題

旅行中に出会う店の人とのやり取りも
楽しい旅の大事な要素。

言葉が通じないせいで「接客に冷たさを感じる」は
受け入れ側がぜひ注意したい部分。

大事なのは言葉が通じるかどうかではなくて、気持ち。
通じなくとも日本人客相手と同様に日本語で同じノリで接客する大切さ。

仮に日本人がアメリカに旅行して
英語がつたないという理由で冷たくあしらわれたりしたら悲しいのと同じこと。

言葉の通じない外国人とはいえ、人は人。
感情をもって理解し行動することで、質の向上が図れます。

このあたりはわたしが専攻した異文化コミュニケーションや
現在勉強中のダイバーシティマネジメントにつながる部分でもあります。


⑥地方都市の観光誘致策

対中国人に限ったことではないが
ショッピングだけでは大都市東京・大阪に負けてしまうので
それ以外の温泉・自然・歴史・有名ドラマなどで勝負すべき。

⑦ウェブサイトを利用したマーケティングの注意点

中国語サイトを準備しておくことが大事だが
翻訳サイトで翻訳しない。

中国は通信速度が遅いため、デザインバリバリの重たいサイトを作らず
シンプルに情報を伝えること。

⑧中国人観光客数の推移

2014年実績は約241万人。
2015年は300万人、2020年には700万人が見込まれている。

現在リピート率は台湾のほうが勝っているが
今後リピーターが増えれば、中国人観光客はさらに増えていく傾向。


日本観光マーケティング、がんばれ!!